ホーミータイツ☆リレーエッセイ

ホーミータイツのメンバーによる、独り善がりなエッセイ。
あなたを強く抱きしめタイツ!
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たましいの場所
 物事が繋がっていくのは面白い。点と点とが線を結び、やがて丸みを帯びた輪郭を浮かび上がらせる。全く別のつながりで知り合った友人同士が知り合いだったり、現在起きている現象が歴史と深い関係があったり、遠い異国での出来事が自分の生活と密接に結び付いていたり、思いがけないところで異質だと思っていたもの同士が繋がったりする。こういう繋がりの発見は、本当に面白い。これは人生の醍醐味といっても大袈裟ではないかもしれない。“世間は狭い”という慣用句があるように、世の中の様々な人・物・事が互いに繋がりあい、この複雑で入り組んだ社会を形成している。

 金子光晴『流浪』(筑摩書房 2006.6)と、つげ義春『義男の青春・別離』(新潮社 1998.8)とを読んで、双方の作品にとても近いものがあると感じた。両作品とも自伝的色合いが強いせいもあるだろう。世代こそ違う両者だが、思春期の頃に横浜に行き密航を企てる姿などは、ぴったりと重なる。

流浪―金子光晴エッセイ・コレクション   義男の青春・別離

 そして最近ようやく早川義夫『たましいの場所』(昌文社 2002.7)を読んだ。名著であるという確信はあったものの、なんとなく機会に恵まれず、今まで読まずにいた。ページを繰り読み進めて驚いた。最初のエッセイで金子光晴の「反対」が、次のエッセイでつげ義春の「事件」が紹介されている。ちょうど僕が最近よんだ本の順番のとおりなのだ。読むべくしてこの本を読んでいるような気がして、なんだか興奮してしまう。

たましいの場所

 早川義夫は僕にとって大好きな音楽家であると同時に、誇らしく、またちょっぴり恥ずかしい大学の先輩なのだ。音楽家であることと同時にどうしようもなく人間であることが感じられる、生々しい美しさが早川義夫の歌の魅力だと思う。

 大学一年生のときの大学祭に早川義夫が出演した。当時は名前くらいしか知らなかったが、そのステージを目の当たりにして、なんて変な人だろうと思ったのを覚えている。その次に出演した遠藤ミチロウも同様であったが、変なのだ。それは絵に描いたようなおかしさではなく、よくわからないけど、なにか、変なのだ。それまで持っていた自分の“変”という概念からもちょぴりはみ出したおかしさであった。それは今にして思えば、その人の表現に対する誠実さから滲み出ていたものなのではないかと思う。おかしさは誠実さであり、優しさであり、いやらしさ。おかしいことは正直であるということなのだ。そのおかしさは、当時の僕にとっては反発さえ感じるものであったが、僕の心の中に引っ掻き傷を残し、幾年かをかけてミミズ腫れとなって、後にヒリヒリと疼きだす。

 本を読んでもわかるが、早川義夫は読み手が照れてしまうくらいに正直だ。『たましいの場所』には、恥ずかしくて他人には言えないことや、言っても共感してもらえなさそうなことが、飾り気のない素直な言葉で綴られている。読んでいてとても落ち着くし、同時に不思議と熱くなってくる。添い寝したくなるような本だ。

 ちなみに、『流浪』は金子光晴エッセイコレクションの第一巻であるが、その第二巻にあたる『反骨』の解説は、『「A」』(角川書店 2002.1)や『放送禁止歌』(光文社 2003.6)の著者、森達也が書いている。元々金子光晴を知ったのは、『放送禁止歌』にも登場する高田渡や友部正人の詩を読んだのがきっかけだった。高田渡は金子光晴の詩を歌にして歌っていたし、友部正人の「絵葉書」という歌には死後の金子光晴が登場する。

反骨―金子光晴エッセイ・コレクション   放送禁止歌   友部正人

 自分の好きな人や好きなものが繋がって連鎖していくことはとても面白い。すごく興奮する。でも、その繋がりは果てしがなくて、やがてぐるりと一周して、もといたところにかえってくる。好きなものも嫌いなものも、必ずどこかで繋がっていて、結局はどちらも同じようなところにあるんじゃないかと、最近は思う。
| ごとうはるか | 晴読雨読 | 11:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
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金子光晴、いいですよね。僕も好きです。
散文しか読んだことないのですが、大げさでなく心が洗われる気がしたのを覚えています。


2年以上前の記事と知りながらのコメンツ。
誰にも気づかれないこと必至。
| ぽ | 2009/03/17 11:45 PM |

>ぽ さん
コメントありがとうございます。
気づいてしまいました(笑)。

いいですよね、金子光晴。
と言いつつそんなに詳しくはないのですが…。
最後に読んでからもうずいぶん経ってしまったので、
また読み直そうかと思う今日この頃です。

最近『流浪』をぱらぱらとめくっていたら、
解説を山崎ナオコーラが書いていることに気づいて、
今更ながらびっくりしました。
| ごとう@タイツ | 2009/03/25 1:35 AM |











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